銘木の特徴
無垢材(天然木)
無垢材の家具は、天然の木をそのまま切り出してつくられたもの。
自然素材ならではの優しい感触と、この世に同じものはふたつとない木目の美しさが、無垢材家具の大きな魅力です。時間の経過とともに変化する木の表情を楽しめます。
木の種類のもよりますが、多くの場合は高温多湿の環境や水気に弱いので、設置の環境や普段の取り扱いには注意が必要です。
日頃のお手入れ、定期的なメンテナンスを続けることで、より風合いが増し、木本来の良さをいつまでも感じられます。
当店で扱っている無垢材家具では、主に以下の木材が使われています。
ナラ(オーク)
良質な高級アンティーク素材の代表格として、テーブルなどに広く使われているナラ材。
曲げ木加工がしやすいのも特徴で、ナラ材曲げ木の椅子などは大変美しいものです。
新品の状態では肌色に近い色ですが、使い込んでいくと徐々に色味が変わり、深い飴色へと変化します。
国産木材の中でも最も硬い部類であるナラは、高い耐久性を誇りますが、一度ついてしまった濃いシミなどを消すのは大変です。
他の木材と同様、水気や湿気には気を付け、また出来るだけ直射日光のあたらない場所に置くようにしましょう。
ラワン
主に東南アジアから一時期多く輸入されたラワン。
現在では数が少なくなったため、ラワン無垢材のアンティーク家具は貴重です。
軟らかくて軽く、加工がしやすいのが特徴ですが、湿度に対してはたいへん弱くなっています。
ラワン家具は、湿気が多い場所への設置はなるべく避け、風通しをよくするようにしてください。日頃のお手入れは、表面が湿気ないよう、やわらかい布での「から拭き」でおこないます。
汚れが気になった際には、かたく絞った布で汚れを拭き取り、最後には必ずから拭きで水気も吸い取って仕上げましょう。
檜(ヒノキ)
淡くやわらかい色味が印象的なヒノキ。
その色味から、繊細で汚れに弱そうなイメージを持つ方もいるかもしれないのですが、ヒノキは家具に使われる木材のなかでも「汚れにくい素材」であることが特徴です。
水に強いため、まな板や浴槽などにもひのきが使われることが多いです。表面に汚れが付着しても内部まで染み込みにくく、汚れても水拭きが出来るのでお手入れが簡単です。
また、ヒノキは消臭剤や脱臭チップなどにも使われるほど消臭効果も高いので、飲み物や食べ物をこぼした場合でも、軽く水拭き・水洗いをするだけで匂いが残らなくなります。
日頃のお手入れとしては、かたく絞ったやわらかい布で全体を水拭きするようにしてください。丁寧に拭くことでツヤが増していきます。
ただ、そんなヒノキでも、表面が乾燥してきたり毛羽だってきたりしてしまうと、汚れやキズがつきやすくなります。
オイル仕上げ家具の場合は、定期的にオイルメンテナンスをおこなってください。メンテナンス方法はこちら(※)から。
欅(ケヤキ)
ケヤキは古くから神社や仏閣、一般家屋の建築材料として頻繁に使われてきた、日本人にとっては身近で親しみ深い素材です。
近年では希少価値が高まり、多くは見られなくなってしまったケヤキ素材の家具ですが、見た目の重厚な美しさに加えてその耐久性の高さ、強度から、今でも人気が高くなっています。
漆塗りと相性がよく、本欅(ケヤキ)の漆塗り家具もまた、高品質の家具として好まれる方も多いのではないでしょうか。
ケヤキは耐水性も高いですので、ヒノキと同様に水拭きが可能で、万一何かをこぼしてもシミになりにくいのが特徴です。
お手入れのポイントもヒノキと似ていて、かたく絞った布での水拭きを続けていくことで、自然と風合いが増しツヤも出てきます。
お持ちのものがオイル仕上げのアンティーク家具なら、表面のようす(乾燥・ムラなど)が気になり始めたタイミングで、オイルメンテナンスをおこないましょう。メンテナンス方法はこちら(※)から。
杉
やわらかくしっとりとした質感が特徴の杉。
杉を素材としてつくられた家具には調湿効果があり、部屋の状態に応じて湿度を吸収したり放出したりすることでも知られています。
一方で、家具材料としては強度が高くないという側面もあり、特に接合部に強度・精度が求められる椅子やテーブルなどでは、その条件下でもバランスが保てるよう、杉家具ならではの形状となっています。
もちろん家具をつくる職人は素材を知り尽くした上で製作していますので、完成されたものが他の素材のものと比べて強度に不安があるということはないでしょう。
むしろデメリットを独特の柔らかみのある形に導いたものとして、杉ならではの製品は近年とくに人気があります。
日常のお手入れは、柔らかい布でから拭き、または布を硬く絞ってから水拭きをおこなってください。
栗
アンティーク家具に用いられる素材の中で高級品のひとつである、栗。
耐久性が高く、水にも湿気にも強いことから、古来より住宅の土台や屋根などに使われてきました。栗材の家具は、手触りの良さも特徴です。
環境の変化にも強い素材であるため、一般的なアンティーク家具と比べて設置する場所や気候に気を遣いすぎる必要はありません。
汚れがついた場合も水拭きで取ることが出来るので、お手入れも手軽です。
かたく絞ったやわらかい布での水拭きでほこりや汚れを落としながら、表面を磨くように拭く、というお手入れを日常的におこなうことで、自然なツヤが増していきます。
黒柿
和家具・レトロ家具などに多く用いられ、現在では珍重されている黒柿。
淡い褐色の柿の木に、水墨画のような黒い縞模様が見られる品種のことを黒柿と呼びます。
黒柿は古来より皇族が使う茶道具に用いられるなど、木材の中で最高品質を誇るものとして名高い素材です。
硬く綿密で、丈夫な素材としても知られていますが、気温の変化の激しい環境にはあまり強くありません。
高温多湿な場所・直射日光があたる場所は避けてご利用ください。
合板(プライウッド・突板合板、プリント化粧合板)
合板とはその名前のとおり、無垢材とベニア材・パーティクルボードなどを合成させて、家具の材料として使える板にしたものです。
一般的に合板が使われた家具よりも、すべて無垢材でつくられた家具のほうが良質で高級とされていますが、無垢板(無垢材)がよいか合板が使われたものがよいかは、個人の好みによるところも大きいかと思います。
無垢材は質感の良さと、メンテナンスによって何世代にも渡って使えるという大きな利点もありますが、大型の家具などはすべて無垢材でつくると大変な重量になります。
軽さが求められる折りたたみ椅子や折りたたみテーブルなどは、合板でつくられたものが多く、また合板の方が向いているとも言えるでしょう。合板の質自体も、近年は大きく向上しています。
合板とひとくちに言っても、無垢材と同様に「ヒノキ合板」「ケヤキ合板」など色々な種類がありますので、お手入れ方法は各素材の項目および各塗装方法の詳細をご参照ください。
(プライウッド家具の場合、塗装方法は多くの場合ウレタン塗装となっています。)
ラワン合板
幅広い用途で用いられ、合板の定番とされているラワン合板。
ラワン合板には「完全耐水合板」と「高度耐水合板」の2種類があります。
完全耐水合板は、屋外や水気の多い場所でも使うことが出来ますが、そうした環境で使うには、塗装済みであることが条件です。
屋外用アンティーク家具の補強などでご使用の際には、必ず塗装された状態であるかをご確認ください。
「高度耐水合板」は、耐水とはありますが、その言葉の印象ほど強いわけではないものですので、出来るだけ水気のない屋内でお使いください。
塗装方法
オイル仕上げ(オイルフィニッシュ)
オイル仕上げ(オイル塗装・オイルフィニッシュ)とは、家具の表面に膜をつくることはせず、オイルを木に染み込ませることで保護する方法です。
使われるオイルはさまざまですが、多くの場合、家具にも人にも優しい完全天然素材オイルが使用されています。
オイル仕上げの特徴は、木の呼吸を妨げずに保護できるため、天然木ならではの質感と風合いをいつまでも保ちながら、耐久性を高められるということです。
家具になっても木が生き続けますので、使い込むごとに色合いが変化し、独自の味となります。
一方で、ウレタン塗装などと比べると、水気や熱・汚れなどに弱いという面もあります。
水気のあるものを長時間置いておくとシミになりやすいので、濡れた布巾を置きっぱなしにしたりしないようお気を付けください。
グラスの水滴もシミのもととなりますので、日頃からコースターなどをお使いになることをおすすめしております。
熱い皿や湯飲みなども、長時間置くと木が傷む原因となります。熱い食器を置く際にも、受け皿やランチョンマットを使う習慣をつけると、安心して使っていただけます。
また、木材に含まれているタンニンが鉄に反応して変色することがあります。
具体的には、鉄の鍋や灰皿、スチール缶の缶詰やジュース、ヘアピンなどを置いたままにしていると、黒いシミがになる可能性があります。
色合いの薄い家具の場合、特に目立つシミになりやすいので、鉄製のものには気を付けましょう。
このように色々書くと、なんだかとても神経を使いそうな気がしてしまうかもしれませんね。でも、あまり過敏になりすぎる必要は決してありません。
万一シミやキズがついてしまったら、メンテナンスをおこなうことで美しい状態を取り戻せるということも、オイル仕上げアンティーク家具の大きな特徴です。
木材そのままの質感ですので細かいキズなら目立ちにくく、キズもまた家具とともに生活する中での味と考える方も多いです。
ただ、特に気になるキズや汚れがなくても、購入したそのままの状態でお手入れをせず使っていると、表面がカサカサしてきたり、色味にムラが出来てくることがあります。
定期的なオイルメンテナンスをおこなっていただくことで、木に潤いが戻り、自然なツヤのある状態を保つことができます。
オイルメンテナンスの方法はこちら(※)に詳しく記載しております。
ワックス仕上げ(ワックスフィニッシュ)
ワックス仕上げとは、オイル仕上げの家具の上にさらにワックスを塗ることで薄い膜をつくり、保護する方法です。
ワックスを塗っている分、オイル仕上げのものよりも強度に優れ、耐水性もありますが、ウレタン塗装に比べると非常に薄い膜での保護となりますので、汚れや水に強い、とまでは言えません。
また、自然な木の質感という面ではオイル仕上げに比べて損なわれますので、オイル仕上げの家具にワックスを塗るかどうかはお好み次第というところでしょうか。
もともとワックス仕上げの家具については、使いこむうちに表面のワックスがすり減ってきますので、定期的に塗り直してください。
オイルメンテナンスも同時におこなう際には、必ずオイルメンテナンスの方を先におこなってください。
表面に残ったワックスをサンドペーパーなどできれいに落としたあと、オイルメンテナンスをおこないます。(オイルメンテナンスの方法はこちらから(※))
その後しばらくそのまま置き、オイルがしっかり乾いてから、ワックスを塗り直しましょう。
ワックスを塗ってからオイルを塗ろうとしても、ワックスに弾かれてオイルが内部に浸透しませんのでご注意ください。
また、ワックスが一部でも残った表面にオイルを塗ると、全体に染み込まずムラになることがあります。
ウレタン塗装・クリアウレタン塗装
合成樹脂を用いて、木の表面に硬い塗膜をつくって保護する方法がウレタン塗装(クリアウレタン塗装)です。表面の質感がツルツルとしていて、均一なツヤがあることが特徴です。
耐水性も強度にも優れ、水拭きによる手入れも可能であり、濡れたものや少し熱いものを置いても、シミになったり傷むようなこともほとんどないので、気軽にあつかえます。
しかし、木の素材本来の質感や手触りは、ウレタン塗装の家具には残っておらず、年月の経過とともに風合いが増していくというようなこともありません。
また、特別なメンテナンスを必要としませんが、それは逆に言えば自宅でおこなえるようなメンテナンス方法があまりないということです。
一度ついてしまったキズなどは補修が難しくなっており、長年の使用とともに表面の塗膜が剥がれてキズや汚れがつきやすくなってしまうということは難点です。
とはいえ、日頃からキズがつかないように気を付けて使うことで、オイル仕上げの無垢材家具のように半永久的に、とまではいかないまでも、長く使っていただけます。
ラッカー塗装
ラッカー塗装は、塗装方法としてはウレタン塗装と似ていて、一括りでまとめられることも多いです。
ラッカー塗装とウレタン塗装との違いをひと言で言うと、ウレタン塗装は家具の表面を硬い塗膜で覆っているのに対して、ラッカー塗装はひとつひとつは薄い膜を何度も塗り重ねることで強度を増しツヤを出しているということです。
ウレタン塗装と同様に、強度や耐水性は強くなっていますが、一度ついたキズを修復するのは専門家でないと難しいです。